□ゴールドの世界を深堀りしてみる。ゴールドがクレジット・ラインを発行できる条件を知る。
昔の企業育成資金の話を聞けば、「欧州でゴールドの運用をして、資金を償還した・・」という話を聞いたことがあります。さて、ゴールドをもって運用するということはどういうことなんでしょうか?
そのことについて、誰も具体的に説明した人はあったことがありませんが、その部分は、やはりPPPに関係しています。PPPプラットフォームの中でも数は少ないのですが、ゴールドをもってPPPにエントリーできるところがあります。
PPPといえば、クレジット・ライン(与信枠)を銀行が発行して初めてできる運用ですから、ゴールドからクレジット・ラインを発行するプロセスを知らなければ、ゴールドでPPPができる仕組みが理解できません。
ゴールドは、基本的に精錬後5年以内のものでなければ、金融価値がないと決まっています。よくホールマークが5年以内か、5年以上であるのか?5年以上のものは、割引率が大きい・・・など、ゴールドのバイヤーの中では話が飛び交っていますが、ゴールドは、古くなってもゴールですから変わりがないのですが、これは、銀行が決めたルールということです。精錬後5年以上のゴールドのSKRであれば、そのSKRをもってクレジット・ラインを発行してくれません。
ですから、一度精錬をすれば、5年間は、そのゴールドSKRをもってクレジット・ラインを発行することができますが、それ以上は継続して発行してくれないというルールがあります。クレジット・ラインが銀行が発行してくれないとなれば、これは、PPPによって運用できませんので、資金を生み出すことができません。
ゴールドの精錬後5年間は、銀行がクレジット・ラインを発行するという理由を決めたのは、ある意味、銀行側の収益モデルの一つだったと言われています。5年に一度精錬することになれば、精錬費用のコストがかかります。そうなれば、精錬費用を稼ぐことができます。すなわち、ゴールドは基本的に不変であるが、精錬させる意味は、ゴールの保管料及びゴールドを精錬するという理由で、その時点で保管する銀行側のコストを請求する仕組みを昔つくったからということです。
さて、ゴールドの精錬後5年以下、5年以上と決めている理由は、銀行が、クレジット・ラインを発行できるのが、5年以内のゴールドのSKRだけで、5年以上のゴールドのSKRは、銀行がクレジット・ラインを発行しないという規定ということになります。
この理由を知っている人は、ゴールドの取り扱い者でもあまり知らないのではないでしょうか?日本では、ゴールドでPPPをするプラットフォームがありませんので、全く知られていないと思われます。
よって、ゴールドで運用するというと、「またまた、あの話ですか?」という話になり、怪しい・・・と日本では言われますが、実際に言えば、欧州の銀行はもともとゴールドや宝石などを預かる仕事をしていたことが、銀行業務の開業当初の仕事でしたので、未だその名残があるということです。
ゴールドの取引に関しては、銀行保管されていることが重要であるというのは一つの理由は、銀行に保管されているので、現金預金のように、銀行間でゴールドの所有者、保管量を確認できれば、クレジット・ラインを発行してくれます。一般的なクレジット・ラインの発行方法としては、ゴールドの保管銀行から所有者からの依頼があれば、SwiftMT760のメッセージを欧州の銀行に打電します。打電をうけた欧州の銀行では、それを見てクレジット・ラインを発行します。それで、PPPの運用が可能になります。
銀行でなければ、SwiftMT760のメッセージを打電してくれませんし、ゴールドを銀行に保管していることで、その在庫は銀行間でも確認できるという仕組みがあることで、ゴールドをアセットバックとしての担保として銀行間で認めることができるので、例えば、日本に保管しているゴールドであっても、銀行間で連絡が取れれば、アセットバックがあることで欧州の銀行でクレジット・ラインを発行して、PPPをおこなうことができるという仕組みになります。
クレジット・ラインというのは、資金を借りることもできますし、クレジット・ラインを第三者に貸し出すことでリース料を得ることができる仕組みです。
すなわち、国際金融において、クレジット・ラインというものは、非常に重要な仕組みであると言えます。
今日は、ゴールドの運用の仕組みについて説明しました。