基幹産業の転換期に、大型投資は、企業育成資金を活用する場合のスキームについて考えてみた。
自動車産業といえば、日本におけるもっとも重要な基幹産業ということになります。正直貿易輸出額の多くは自動車輸出によって得た利益といっても過言ではありません。
しかし、その構造がこれから10年で崩壊する可能性があるということです。世界は電気自動車のみを販売可能とする法的処理を取り始めています。そうなれば、電気自動車といえば、中国メーカーが、日本より先に進んでいると言われています。日本の自動車メーカーの最大の強みは、エンジン開発できる力があるということで、内燃機のスペシャリストとして世界に君臨してきました。それが、電池と電気モーターに入れ替われば、今まで自動車エンジンで必要だった部品は、必要なくなり、電子制御のモーターとバッテリーが重要になり、それを安価に安全に作れるということが、自動車の普及に大きく関係しています。
そうなったときに、複数のエンジン関係の下請け企業を抱えている自動車メーカーは、一気に時代の転換期についていくことができずに、はじめから電気自動車のみを製造することに特化した中国企業などの新興勢力に自動車産業も押されていくと指摘されています。また二酸化炭素排出量の問題で、日本の電力などのエネルギーは、化石燃料を使っての発電を行っていることから、化石燃料エネルギーを使ってつくった自動車は、地球環境に良くないということで、多額の税金が課税される制度も欧州では整備されており、これからの時代、日本の自動車メーカーを始め、製造輸出業は厳しい状況になると言えます。このような制度が始まった時点で、日本は、化石燃料をつかって電力を供給している国家は、完全に世界市場に参入することができなくなり、完全に内需のみで生き抜く必要が出てきます。
というと、日本の将来は、全く明るくありませんが、そんな問題をクリアーするには、完全にインフラ、基幹産業のあり方を、イチから構築して、日本が世界標準として戦える国に大転換する必要があります。
そのような財源確保のために、「企業育成性資金」の制度があるのです。もともとは、電力などの基幹産業に資金を出すことからスタートした制度です。また、自動車産業や製鉄などの産業も大きく変わるために、資金提供できる仕組みを提供しているのが、「企業育成資金」の制度ということになります。
確かに、資金を動かす際に、多額の資金を提供するということで、株主に影響を与えない形での資金提供ということで、代表者個人の名義に資金提供を行いますが、現金給付であることは違いなく、この資金を活用して、新時代への転換期へのプランを実行できる財源を確保することが可能です。
企業育成資金は、直接上場企業へ資金を投入するのは難しくても、例えば、新工場や工場設備の建設には、多額の初期投資が必要になります。簡単にいえば、このような設備投資をする際に、その設備投資代金を企業育成資金から支払って、会社には、その設備を格安でリースすることで、企業活動を行うということは可能だと言えます。
筆者ならば企業育成資金の使い方をどうするかといえば、新技術開発、新工場、最新設備の導入する際に、それを先に資金を出してリース企業を設立して、リース企業は、企業育成資金から出資して、上場企業は、そのリース企業から設備をリースするようにすれば、企業にとっても初期投資が抑えることができ、大型投資することなくリスクを回避できます。
つまり、企業育成資金の制度を活用して、急激に変化する時代の変化に、大型投資しやすい環境整備ということが重要な任務として考えています。