MSA資金については、1954年から1968年までは、特別会計の中の財政投融資による運用益から資金を償還してきた。資金源は、はじめは余剰小麦の日本国内の売上金を日本円での積立金からの財源にしていた。世界銀行から融資した資金を民間事業に活用し、その後、特別会計の財政投融資による償還をおこなうことで、日本の高度背長期の基幹産業、インフラ整備をおこなってきた歴史があった。
1970年以降は、政府保証で償還する制度は終了し、民間による償還制度がスタートした。民間案件になってからも世界銀行からの融資も活用したということである。資本金300億円以上、東証一部という基準は、世銀の無担保融資枠を利用する際には、300憶円以上の資本金条件があったということである。
大企業以外、MSA資金の提供がなされなかった理由に、世銀からの無担保融資における条件があったからということも関係していた。
現在では、MSA資金自体の財源が長期運用により十分大きくなったことで、独自の資金を活用することが増えている。いずれにしろ、MSA資金の基金から資金調達を行い、日本の重要産業企業の代表権者個人への資金提供として今も尚、案件は続けている。
現在では、資本金の基準が100億円ということになっているが、場合によっては、60憶、70憶円の東証一部企業でもMSA資金の無償提供を可能にしている。理由としては、MSA資金の基金の運用益が大きくなり、世銀の無担保融資枠の基準を使わなくても資金調達が可能になったこと。また、MSA資金の無償提供で重要になるのが、MSA資金の基金から資金調達してきた資金をどのようにして、償還するかという点も非常に重要な課題である。
現在では、MSA資金の基金から調達した資金の一部を、欧州の金融市場で行われている資金運用案件に参加している。いわゆるPPPといわれる金融商材である。PPP運用に参加するには、一定の条件を満たさないければいけない。たとえば、1億ドル以上の資産があること、また、それなりの企業を経営していること。公人でなく民間人であること・・・など、条件を満たしていることが重要になる。
すなわち、MSA資金への資金を償還する際に運用するための金融商材に参加できるかも重要な課題になる。
それらの問題をクリアーできてはじめて、MSA資金の無償提供の案件ができることになる。